代替医療

社会に出てから

私は、母親や周りの家族の影響もあり、幼少の頃から漢方のお世話になっていました。

曾祖母がそばにいましたので、お腹を壊したり、熱が出たりすると、煎じ薬や、真っ黒な練り薬を飲まされた記憶もあります。

また、慣用句の「お灸をすえる」という言葉の通り、疳の虫を治めるために大きなモグサでのお灸も経験しています。
成人してから、痔ロウを患い、再発を繰り返すなかで、いよいよ手術をしなければならないという事態になったとき、実家の母親がかかっていた漢方医に、診察を受け私の身体に合わせた体質改善のための漢方薬を調合してもらいました。

自宅で煎じて飲むものと、生薬を混合した粉末の薬を毎日飲み、3ヶ月に一度くらいの診察で一年ほどで治療は終了、おかげさまでそれ以来30年近く再発していません。

この先生は、脈診、触診、舌診と、問診から診断し、漢方薬を処方されたように記憶しています。ご高齢だったこともあり、その後廃業されたようにきいています。
その後、職場の野球部で試合中にぎっくり腰になり、整形外科に担ぎこまれましたが、レントゲンを撮って、湿布をしてもらっただけで治療が終わって、帰宅することに。この帰宅も自分の足で歩けるわけでもなく、肩を借りて、タクシーで搬送されたわけですが、身体を動かすときの痛みはひどく、そのまま家内に付き添われて鍼灸院を訪ねました。

その時、どのような治療を受けたのかは記憶が定かではないのですが、最初は腰を折り這うような状態だったのが、一回の治療で痛みは和らぎ、腰が伸び、しかもゆっくりではありましたが自分ひとりで歩くことが出来たことの驚きは今でもしっかりと思い出せます。

これが私と鍼灸の出会いで、娘はもう20年くらい治療を受け続けており、体調管理をしてもらっています。
現在、子供達や孫達の健康状態をみるにつけ、免疫力や、自然治癒力を高めることが健康を保つための必要条件であり、食事や生薬なども利用して体質改善を計ったり維持することが良いのではと、素人判断をしているわけです。
伝統医学と呼ばれるものや、民間療法といわれるものの中には、長い歴史の中で効果が認められるものが残っているのではと感じており、近代医学も進歩はしているものの、科学的根拠(エビデンス)が要求される中で、因果関係が証明されないと認められないというのは寂しく感じます。
友人や、知り合いには沢山近代医学を専攻したお医者さんがありいろいろ助けて貰っております。しかし、そういう人達の中には「近代医学ではなかなか治療効果があがらない症状が、伝統医学と呼ばれる治療法の中で個人に合わせた施術で改善に向うこともある」ということをなかなか認めようとしない人もあり、困ったものだと思うこともありますね。

歴史的な背景、政治的な背景には詳しくはありませんが、第2次世界大戦で敗戦国となった日本の中の伝統的な文化思想、技術はGHQの指導の下多く廃止、禁止されたと聞いたことがあります。
古来、中国から伝わり、日本の中で独自に成熟してきた鍼灸や漢方をはじめとする伝統的な療法は医術としては正道ではないというような風潮が広がったことは残念でなりません。世界的な流れの中で、伝統療法も医学として認知されているものも増えて来てはいますがこの点では日本は遅れているといえるかもしれません。
WHOでも認められ、他国では医療として認められている技法も、日本ではサービス業としてのみ認知され医療として認められていないカイロプラクティック、アロマテラピー、アーユルベーダなど沢山ありますね。
日本では医師の行う治療行為以外で医療行為として認められているのは、あん摩マッサージ指圧、鍼、灸、柔道整復であり、国家試験によってその業に携わる人に免許を与え、他の民間療法と区別をしています。
しかし、一般の人にその区別というのはつき難く、術者が国家資格の持ち主かどうかなどなかなか知る由もないのです。
例えばマッサージを見てみましょうか。

もともとは中国から伝わった推拿という手技が日本の中で按摩として伝承されてきました。マッサージはヨーロッパでうまれた手技療法として行われていたものが、明治時代に日本に医療法として導入されたといわれます。(中国における推拿は、現在は中国整体という医療分野の療法となっています。)

この按摩とマッサージの厳密な技術的定義が無いまま法律化され、按摩という言葉が視力障害者に対する差別用語のような取り扱いが受けたこともあり、一般にマッサージと呼ぶようになって現在に至っているわけです。

タイ式マッサージ、英国マッサージ、リンパマッサージ、スポーツマッサージなど、いろいろなマーサージという言葉が看板を飾っていますが、これらのマッサージの施術者はほとんどの場合が日本の国家資格をもったあん摩マッサージ指圧師ではなく、民間で研修を受けた人が行っているのです。
柔道整復術である接骨と整骨、整体、カイロプラクティックなどは一般の人には特に区別のつきにくい言葉となっているように思えます。接骨、整骨は柔道整復術を表す言葉として使われ柔道整復師の施術所に接骨院、整骨院という名称が使われます。

整体は、中国の伝統手技療法の推拿が現在の中国整体となっていますが、日本における現在の整体術と呼ばれるものは定まったものはなく、明治維新後欧米から日本に伝わった手技療法を中心とするもの、古武術の中で流派に伝わる手技療法を取り入れたもの、中国整体の手技療法を用いるもの、団体独自の理論で生み出された手技療法など様々あるとされています。
カイロプラクティックはアメリカで発祥し、欧米で40カ国で専門職として法制化され、WHOでも補完代替医療として認められています。特に認知の高いアメリカでは筋骨格系と神経系疾患に特化した医療」として専門大学で職業学位をとり、州の資格試験に合格することが義務付けられており、その資格は広く高く認知されています。

日本では法的根拠が明白でなく、その療法施術内容は差異があるまま、民間療法として行われていますが、業界ではWHOの「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン(指針)」をもとに、WHOの教育基準を満たしたカイロプラクターの登録制度をはじめとする公的認可への動きが始まっています。、

これらは、医療としては認められていませんが、法律的には医業類似行為として「人の健康に害を及ぼすおそれがない以上、法律に違反しない」とし、業として行うことを事実上認められているのが現状です。

実際のところ、業として行う技術の一定の基準がなく、施術者の技術水準、施術方法がバラバラなため、受療するにしても、自己責任で受けるしかない状態ですが、安心して受療できる体制が望まれます。
東洋医学vs西洋医学など線引きや勢力争いに巻き込まれるのは患者としては迷惑な話で患者は自分の抱えている主訴が取れれば極端な話なんでも良いのです。
ただ、「○○でガンが治った」などの虚偽の広告などで本当に困っている人を惑わしたり紛らわしい言葉や単語を使って異なるものを売ったり、サービスを提供したりして利潤を追求する輩が多いのも事実なので、行政の取締りに期待し頼るよりは、私達が知識をつけ、判断する力を持たないといけません。
これから医療界にすすむ人たちに望むのは、自己研鑽と共に、周りへの正しい情報提供です。

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