施術管理者について

今年の4月より、接骨院での、柔道整復療養費の受療委任の取り扱いをする「施術管理者」に関する要件が変更になりました。

一般の皆さんには非常にわかりにくい話かもしれません。

私たちが医療機関を受診する場合は、健康保険を利用して受診することが大半です。この保険制度は指定保険医療機関による「療養の給付(現物支給制・点数制)」を原則とするとなっており、それ以外に保険適用として認められる「療養費」という金銭支給があります。

大雑把に言えば、現物支給以外は保険適応内の治療などの医療行為に対して、一定の割合を本人負担にし、残りは保険から支払うということになっています。

治療費が病院以外で保険適用となるものが、柔道整復、鍼・灸、マッサージの施術の一部で、療養費という形で保険支給される仕組みとなっています。

この保険適用の療養費を患者さんに代わって請求するのが受療委任といわれる方法で、病院と同じく多くの該当する治療院で行われています。

柔道整復に関しては急性又は亜急性の外傷性の打撲・捻挫および骨折・脱臼の施術、鍼・灸に関しては医師からの神経痛・リウマチ・腰痛・頚肩腕症候群・五十肩・頸椎捻挫などの適応6疾患である旨の診断結果を記載した同意書またはこれに準じた診断書の交付がある場合の施術、マッサージに関しては「関節拘縮」「筋麻痺」など「症状」に対する施術を同意する旨の同意書がある場合の施術に限り、療養費として支給されます。

柔道整復術に関しては、上記のように医師の同意書なしで、医師と同じく自ら療養費が請求できるため、不正請求が後を絶たたないと言われることが多いです。その中でも2015年、指定暴力団が関与する、複数の医院、歯科医院、接骨院における不正請求事件が発覚し、大きく取り上げられましたね。

接骨院や、鍼灸院などの場合、個人で運営されていることが多く、こうした療養費の委任請求は院長がレセプトを書き、業団などで作る協同組合でチェックし各保険団体に請求をかけるという形が多く、不正請求になっていないかのチェックもされていますが、グループ会社やチェーン化された治療院の場合は、利益追求型の形態も多く前述のような不正請求事件が起こったのではなかろうかと推測されるわけです。

こうした社会事情を背景にして、このたびの「施術管理者」に関する要件が変更になったと考えられています。

今回の改正は、接骨院におく施術管理者(療養費の受療委任の取り扱いが出来る者)の要件(これまでは柔道整復師であることだけ)に、「実務経験」と「研修の受講」が加えられたというものです。

このことが一般の患者さんにとってどう影響があるかを考えた場合、私達患者にとっては痛みや症状の軽減、治癒することが目的ですから、その技術を持った治療者であれば問題ないわけです。訪れる治療院の院長は最低でも3年の実務経験をもち研修を受けた治療者となるわけですから安心となるわけです。

同じ医療界で、医師は6年間の教育を受け国家試験合格後、2年間の臨床研修が義務付けられているわけです。ですから、柔道整復師業界にとっても、3年の実務経験と研修を受けるということは医療界の一員としては当然のこととして受け止め、3年の実務経験の中での国民の健康に寄与するために研鑽すべき内容など業界として示して欲しいと思います。そうすれば柔道整復師の社会的地位も今よりも一層高く認められるものになるのではないかと考えます。

新規に柔道整復師になった人、柔道整復師を目指す人にとっては、自分の将来を考えるにあたり独立開業するならそのための準備と研修も、より具体的に計画できるようになるでしょうし、就職を目指す場合も給与、待遇だけでなく、柔道整復師として成長できる場所か否かも検討材料として取り入れることができるようになるでしょう。

一部の業界人は、「療養費請求代行団体は新規加入者が減り経営的に行き詰る。柔整学科を設置する専門学校・大学では、卒業して更に3年先まで保険が使えないような資格を取得する希望者は少なく、結果的には閉校を余儀なくされる」など後ろ向きで悲観的な意見を述べています。

この意見には私は大いに反論して欲しいです。

今でも学校を卒業し国家試験に合格して柔道整復師になった人は治療院に就職し、患者さんに対して治療を行っているわけです。院長が施術管理者であれば今までどおり患者さんは療養費委任払いで、治療を受けれるわけですから何の変わりもありません。

今までは、経営者の意向で、まだ技術も未熟、研修も積んでいないのに多店舗展開という経営方針のもとで院長を任され、知らないうちに不正請求等の片棒を担がされつらい目にあったという柔整師もいたでしょう。でも、今回の制度改革を正しく理解し、消化すればこれまでの負のイメージを払拭でき、魅力ある業界にできるチャンスだと考えてください。

資格を取れば業界に入り、実務経験を積みながら研修を受け、その後望めば開業することも可能。こうして国民の健康に寄与できるすばらしい柔道整復師という資格。だれでも取れる資格ではなく、しっかりと学習を積み、技術を身につけた人が合格する国家試験。国家試験の合格のみを目指すのではなく、卒業してから実際に治療に当たるときに必要な基礎技術をしっかりと修得させる養成施設。

どこに、暗雲があるのでしょうか?